「絞殺る(しめる)」は天才物理学者である主人公、湯川学が一見オカルトじみた事件を科学的に解決するシリーズ「ガリレオシリーズ」の中の1作品で、福山雅治さん主演でドラマ化もされている有名な作品です。
この記事では映画・小説の両方を観た管理人が「ガリレオ 絞殺る」をまだ見ぬ人に向けて、極力ネタバレなしで作品の見どころを解説していきます。
目次
「絞殺る」の基本情報
作者:東野圭吾
作者の東野圭吾さんはエンジニアとして勤務しながら小説を執筆し、江戸川乱歩賞や直木賞を受賞しました。
ミステリー小説を数多く執筆し、多くの作品がドラマや映画の原作になっている人気の高い作家さんです。
「絞殺る」はガリレオシリーズの中の1作品
「絞殺る」は、ガリレオシリーズと呼ばれる作品群の中の1つです。
ガリレオシリーズはどの作品も、天才物理学者の湯川学が警察の依頼を受けて一見オカルトじみた難解な事件を科学的に解明していく点で共通しています。
「科学×ミステリー」の組み合わせを楽しむ作品なので、ミステリー好きにはもちろん科学好きにもたまらないシリーズです。
「絞殺る」の登場人物
「絞殺る」の主な登場人物を以下にまとめました。かっこ内にはドラマ版の演者さんを記載しています。
- 湯川学(福山雅治):帝都大学の物理学准教授。スポーツ万能で、鋭い洞察力と天才的な物理学の知識を持つ。警察関係者からは、ガリレオと呼ばれるほど頭の切れる人物。
- 内海薫(柴咲コウ):事件究明に熱心に力を注ぐ女性刑事。思いつきと勘で捜査し容疑者特定に励む。正義感が強く執念深い人物。
- 矢島秋穂(大後寿々花):被害者の娘で、喘息を患っている。幼い頃から両親の苦労を目にし、鬱積した思いを抱えていた。
- 矢島貴子(水野美紀):被害者の妻である、秋穂の母親。
- 矢島忠昭(岡本光太郎):本作の被害者。長野県でペンションの経営を行っている。
「絞殺る」のあらすじ
とあるホテルの一室で、ペンション経営者の「矢島忠昭」の絞殺死体が見つかります。
現場には指紋の拭き取られたコーヒーカップが2つ。それを見た警察は他殺の線で捜査を進めます。被害者に多額の保険金がかけられていたことから、その妻である矢島貴子が犯人と思われましたが、犯行は密室で行われており捜査は難航します。
また不可解なことに、犯行現場付近では「火の玉」が目撃されていました。
事件現場に火の玉が現れたことに疑問を持った刑事の内海は、天才物理学者と呼ばれる湯川に捜査協力を依頼します。
犯行現場を調査した湯川ですが、火の玉の発生を解明するヒントは得られませんでした。完全に調査に行き詰まった湯川と内海は、ついに容疑者である「矢島貴子」の家に乗り込むことにします。
果たして、火の玉の正体を科学的に解明することはできるのでしょうか。そして、「矢島忠昭」を殺した犯人とは...。
注目ポイント1: すれ違う親子の感情に共感
本作品の序盤で子供の体調を気遣う子供思いの親と、子供のためを思って行動する親の振る舞いに対し嫌悪感を持つ娘が描かれます。
私自身、親から「あなたのことを思って私立に行かせている」などの言葉を言われ、親の小言に辟易していたので、この作品の娘が親に対して嫌悪する気持ちはとても共感できました。
さらに娘の感情に共感できる分、親と娘のすれ違った思いがどのような結末を迎えるのか、という興味が沸きました。
すれ違ったまま物語が終結するのかそれともすれ違いが解消されるのか、ぜひ皆さんも確認してみてくださいね。
注目ポイント2: 湯川の優しい一面
湯川が被害者の娘に対して、優しさを見せるシーンに胸を打たれます。
湯川は人の感情に興味がなく非常にクールな人物ですが、本作品では珍しく優しさを見せます。
父の死後、母の言動に不信感を覚えた娘が「やっぱり母が父を。。。」と発言するシーンにて湯川は「人を憶測だけで疑ってはならない。」と言い始め、娘を諭します。この諭すシーンで湯川の優しさが見え、とても新鮮でした。
ガリレオシリーズでは所々、湯川が優しさを見せるシーンがありますが、本作品の湯川の優しさには特に心が打たれました。
湯川の新たな一面を観たい方はぜひご覧になってくださいね。
映画 or 小説、鑑賞するならどちらがおすすめ?
登場人物の感情に思いを馳せながらミステリーを味わうなら... ドラマ
被害者の家族の思いに感情移入しながらミステリーを楽しみたい方には、ドラマ版がおすすめです。
小説版に比べ、被害者の家族の感情が鮮明に描かれています。従って登場人物に感情移入しやすくなっており、一般的なミステリーとは一線を画す作品となっています。登場人物の感情が錯綜する描写が好きな方にはドラマ版をおすすめします。
ドラマを観たい方は「ガリレオ」で検索してみてください。
ドラマは以下の動画サイトで視聴できます。
一言メモ
謎解きが好きなら... 小説
被害者の殺害トリックや容疑者のアリバイトリックを解き明かしたいなら小説がおすすめです。
小説版では、事件の謎解きに主眼を置いているので、事件の被害者や被害者の周囲の人間の心理描写はあまり深く描かれていません。
従って、事件の謎を説く上での不必要な情報がないため、トリックを暴きたい方にとっては小説をおすすめします。
「絞殺る」は「予知夢」という短編集の第四章に収録されている作品です。