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小説「十角館の殺人」のあらすじと感想 【たった1行が世界を変える】

「十角館の殺人」のあらすじと感想 【たった1行が世界を変える】

綾辻行人作の本格ミステリー小説「十角館の殺人」。

この記事では、本格ミステリー小説の傑作として語られる「十角館の殺人」について、あらすじ・感想をまとめ、どんな人におすすめできるかについて解説していきます。

「十角館の殺人」の作者「綾辻行人」ってどんな人?

綾辻行人(あやつじ ゆきと)は日本の小説家で、ミステリー・ホラージャンルの小説を執筆している小説家です。

大学生の時にこの記事で紹介する「十角館の殺人」で小説家としてデビューし、それ以降「館シリーズ」と呼ばれる本格ミステリーシリーズを展開。

一時勢いを失っていた本格ミステリーの人気に再び火をつけたことで、「新本格派」と呼ばれるようになりました。

作風としては、物理トリックよりも叙述トリックを得意としていて、多くの作品で叙述トリックを使ったどんでん返しが起こるのが特徴です。

補足①:本格ミステリーとは?

本格ミステリー小説はミステリー小説のジャンルの1つで、頭の切れる名探偵が事件を解決するというベタな設定の小説たちを指します。「トリック」「謎解き」「名探偵」に焦点があたる内容で、推理に必要なヒントが全て読者にも提示されるため、読んでいる私たちも探偵役と一緒に推理を楽しめるのが特徴です。

補足②: 叙述トリックとは?

物理トリックとは、密室を作るトリックや凶器を消すトリックなど、犯人が犯行を成り立たせるために使う物理的に実現可能なトリックのこと。犯人が探偵役に向けて利用するトリックといえます。

対して叙述トリックとは、読者の先入観を利用した文章によって勘違いや事実誤認を引き起こすトリックのこと。作者が読者に向けて仕掛けるトリックといえます。

「十角館の殺人」のあらすじ

大分県O市にある大学のミステリー研究会のメンバー「エラリイ」「ルルウ」「カー」「アガサ」「ポウ」「オルツィ」「ヴァン」の7名は、沖に浮かぶ孤島「角島」を訪れる。

大学生たちが宿泊することになるのは、島にそびえたつ十角形の奇妙な形をした館「十角館」。半年前、この館を建てた建築家、中村青司が青屋敷で妻や使用人とともに焼死体として見つかる事件があった。十角館はその時炎上した青屋敷の別館として建てられた建物である。

やがて、学生たちを襲う連続殺人事件。犯人は誰なのか...学生たちは互いを疑い疑心暗鬼になりながら、犯人を探すべく対話に身を投じることになる。

「十角館の殺人」の感想 (ネタバレなし)

たった1行で見える世界が変わってしまう究極の「叙述トリック」

この作品の見どころはなんといっても叙述トリックです。

物語終盤にある人物が放つひとこと。紙面にしてたった1行のセリフが物語を覆し、大どんでん返しが起こります。

自分たち以外に誰もいないはずの孤島で疑心暗鬼に陥る学生たち、連続殺人事件の犯人はいったい誰なのかを読者自身も推理・想像しながら読むことで、最後の衝撃はより一層大きなものになると思います。

私の場合、その「1行」があまりの衝撃で、同じ文章を3度見くらいしてしまいました。

混乱する頭をなんとか整理したのち、それまでのストーリーをもう1度読み返して確認したくなるほど、この叙述トリックには驚かされました。

叙述トリックを見破って犯人を推理するのは難しいとは思いますが、ちゃんと作中に犯人を特定するヒント(伏線)が隠れているのもよかったです。

後から伏線を知り、なるほどそういうことだったのかとひとり納得しました。

「十角館の殺人」はこんな人におすすめ!

「十角館の殺人」は以下のような人におすすめできます。

  • どんでん返しが起こるような衝撃の結末のあるストーリーが好きな人
  • アガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」を読んだことがある人
  • ぶっちゃけミステリー好きでなくても読書好きみんなにおすすめ

以下で1つ1つ解説していきます。

どんでん返しが起こるような衝撃の結末のあるストーリーが好きな人

何度でも強調しますが、この作品をひとことで表すと「衝撃の1行が全てを変えるどんでん返しを起こす」です。

私の場合、事前に「とんでもない1行がある」という情報だけは得て読み進めていたので、「どんなどんでん返しがあるのかなぁ」と、その1行を楽しみにしながら読み進るのがとても楽しい時間でした。

実際、その1行を読んだ時には驚きで目が止まってしまうほどで、期待以上のおもしろさ。

手のひらサイズの小さな文庫本に大きな衝撃が詰まっているので、どんでん返しものが好きな人には是非とも読んで欲しい作品です

アガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」を読んだことがある人

「十角館の殺人」は、ストーリー展開がアガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」をオマージュした内容になっています。

孤島に閉じ込められた登場人物たちが、1人また1人と死んでいく流れはまさにそうですね。

「そして誰もいなくなった」を知らなくてももちろん楽しめますが、作中にも「そして誰もいなくなった」という小説名が出てくるほどガッツリ意識して書かれているので、知っているとより楽しめると思います。

ぶっちゃけミステリー好きでなくても読書好きみんなにおすすめ

ぶっちゃけます。

「どんでん返しが好きかどうか」「『そして誰もいなくなった』を読んだことがあるかどうか」もうそんなのどうでもいいです。

今までの話を全てゴミ箱に捨てて、全ての人にこの小説をおすすめします。

そのくらい楽しめる作品でした。

実は私自身、普段から小説を読む人間ではなく、友人に薦められて「十角館の殺人」を読んでみることにした、程度のモチベーションで読み始めました。

しかし、読んでみると文章のテンポの良さ、先が気になる展開にどんどん引き込まれてしまい、しまいには叙述トリックにまんまと騙されて感動を味わいました。

普段小説を読まない人でもこれだけ楽しめるのかと感動したと同時に、こんなに楽しいなら他のミステリー小説を読んでみようかなと思ったほど。

小説を普段読まない人を読書沼に引きずりこむ魅力があると言ってもいいと思います。

「十角館の殺人」の評価・口コミ

SNSで「十角館の殺人」の感想を述べている人を探してみました。

どの人もやはり、衝撃の1行に驚いた模様ですね!

「十角館の殺人」は漫画版もある

なお、「十角館の殺人」はコミカライズもされているため漫画版もあります。

漫画版では小説とはまた違ったトリックで読者を騙してくれます。

文字を読むのはちょっと...という方は漫画版で楽しむのもアリです!

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まとめ: どんでん返しがおもしろい小説です!

この記事では、綾辻行人の「十角館の殺人」についてあらすじ・感想をまとめ、どんな人におすすめかについて紹介してきました。

普段小説を読まない私でもスラスラ読めて、そして叙述トリックに巧妙に騙されてと非常に楽しめました。

ミステリー小説を読んだことがない人の初めの1冊としてもおすすめできるので、気になった人はぜひ読んでみてください。

そして、あの1行の驚きを体感してみてください。

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